ヒットコンテンツブログ

吉田就彦のヒット学

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2009年6月アーカイブ

昨日、SOUP STOCK TOKYOをやっているスマイルズの社長遠山正道さんの仕事を並べた個展「遠山正道の仕事」を見に行った。

遠山さんは、元三菱商事の社員でありながら芸術家。アーティストなのだ。もちろん、彼のビジネスのSOUP STOCK TOKYOにしても、ネクタイショップgiraffeにしても、センスに溢れているビジュアルが特徴だ。

それらは、当然、遠山正道のアートがなせる技でもある。

そのアートには、実は思想がある。芸術家としてのメッセージがある。それらが企業理念となって、メッセージとなってビジネスに結実している。そもそも芸術とはそういうモノである。

先日、田坂広志さんと話したときに、この世紀は、芸術の世紀だと話して盛り上がった。戦争の世紀であった前世紀が、今世紀になりアートの世紀になるということである。

それは、もちろん我々人類の大きな望みでもある。祈りかもしれない。

翻って、ビジネスを語る人が言い出していることに、「これからのビジネスはアート的で無ければ成功しない。」「アートの感覚がこれからのビジネスには重要。」田坂さんもそんなことをおっしゃっている。

それは、なにもアート(美術とか音楽)でビジネスをしろということではない。なにか、言葉やロジックだけではメッセージできないことに、ビジネスのチャンスや創造性が生み出すビジネスの可能性があるということだ。

その創造性の本質を、私は、ワープと呼んでいる。

私が行っている人間力研修DPHPの行動指針は「考えろ!感じろ!ワープせよ!」。そのワープとはこういう意味でもある。

自分が、なにか非線形の世界にパラダイムシフトすること、その意識を持つこと。そして、そのような意識でビジネスを創造することがビジネスとしてのワープだ。イノベーションと言葉を変えてもいい。

それは、いつも言っている0-1、1-100の理論で言えば、1-100を実現したらまた違った次元の0-1にパラダイムシフトせよということでもある。

そんなことを考えながら遠山さんの個展を見た。

そうしたら、先日「音楽主義」の取材でお会いした小山薫堂さんが、遠山さんの新しいアート=ビジネスPASS THE BATONに自分のヘッドホンを出品していた。

PASS THE BATONは、自分の思い出や気持ちをなにか自分に関係している商品としてオークションする形で人に渡してリサイクルしようという遠山さんのメッセージをビジネスにしていこうというプロジェクト。

遠山さんにしてみればそれもまた、新たなアートである。
それに、小山さんが自分がやっているラジオDJのためのヘッドフォンを出品していたのだ。

遠山正道はまさに、アート=ビジネスの世紀に生きるビジネスマン。
その行動には目が離せない。面白い。

遠山さん、また会いましょう。

無農薬・無肥料のリンゴ栽培に成功した木村秋則さんが話題だ。幻冬舎の本の広告で、初めて知っていたのだが、本日の日経新聞の日本創造会議に記事が出ていて、そのエッセンスを読み、うなった。

これまで不可能とされた、無肥料・無農薬のリンゴ栽培を成功させた木村さんのそのメッセージとは、「常識は全部捨てなさい」というもの。

その常識にこそ、諸悪の根源があり、昔からの農の知恵をゆがませ、それが翻って農をダメにしているということだ。

詳しくはわからないが、成功したその根源は、無農薬・無肥料を実現した土の力だという。

土である。う~ん。そうだよなあと。

当然、植物である農産物は、土からできる。その土をよくして、その植物が十分に栄養補給を行い強くなることで、害虫に耐える構造だ。

ひ弱でなく、たくましく育つのだから、栄養価も高く、強い因子を持っているに違いない。

翻って、現在私がやっている人間教育のことを考えた。

当然、ビジネスとしてやっている以上は、懇切丁寧、お客様の声を聞いてのマーケティングの姿勢はわかる。しかも、顧客の満足=教育の成果とも繋がる可能性が高い。

しかし、私が今やっているビジネス・プロデューサー作りではどうだろう。

成功するプロデューサーということを真剣に考えれば考えるほど、ひ弱・懇切丁寧とは対岸にある人間作りになる。

木村さんの言葉に、「農業では非効率なものが効率的なものになることがある」とある。

効率は、効果性の考えを進めれば進めるほど、効果がなくなるジレンマとも思える。

まさに、教育とはそういうモノなのではないか。人間もリンゴも同じである。

木村さんはさらに言う。
「自然に戻れ、リンゴも喜ぶ」

人間が自然に戻るということは、その人に戻るということ。その人の個性に戻るということでもある。そして、それが生かされれば、当然人間は喜ぶ。

ということは、プロデューサーに置き換えると、その人なりのプロデュース術が見えればいいのである。

そして、さらに考える。
その人依存のプロデュース術では、無理な部分もあると。向き不向きの問題もある。

う~ん。考える。考える。そして考える。

誰でもヒットを生むプロデューサーになるチャンスはある。私はそのキッカケを作っているのである。

しかし、そのキッカケを掴まない、もしくは掴めないということは、やはり、その人の個性にも依存するし、無理なことなのかもしれないとも考える。

ヒット作りに特効薬は無い。
もちろん人間教育にも。

しかし、2%を3%にしようという思いでやっている。

実験、実験、実験。
木村さんのその言葉に勇気づけられた記事だった。

そうだ。まだ道半ばである。

今や音楽は、CDが全盛の時代だが、私がレコード会社にいたときのはじめの頃は、当然、レコード会社というわけだから、レコードがメイン。もちろんTAPEも新しいメディアではあったが。メインはレコードが主力だった。

そんな懐かしい時代に、大変お世話になったレコードのカッティングエンジニアの手塚さんが、12日の日経新聞の文化欄に大きく紹介されていた。

とにかく、私が新人のレコーディングディレクターの時から大変お世話になった人。なんだかよくわからないレコード会社の新人ディレクターが、えらそうにいろいろと言うわがままを聴いてくださり、素晴らしいカッティングをしていただいた。

カッティングの話は、記事を参照してもらえばよいのだが、その作業によって、プレスされてレコードになったときの音が変わってしまうという大事な最終作業工程だ。

手塚さんはそのエンジニア。今では、もう彼ぐらいしかやっていないのではないだろうか。東洋化成という会社のエンジニアだ。

私がプロデュースに関わったほとんどの作品をお願いした方である。もちろん、チェッカーズも、おニャン子も。

一番の思いでは、チェッカーズの「SONG for USA」。シングル楽曲なのだが、とにかく時間が長い。通常のシングル曲は、5分以内に納める時代だったのだが、確か6分以上あった。

そのような長い時間のカッティングは実に難しい。

長く音楽を入れると入れる音の音量が小さくなり、音も迫力が無くなる。音量を入れすぎると音は歪み、レコードをカケると針が飛ぶ。それを微妙な技術で、バランスを取るのがカッティングエンジニアの力量だ。

なので、「SONG for USA」は大変だったのだ。
なかなか上手くいかなかった。

しかし、最後に良い仕上がりで、いい意味で音とレベルの妥協を探れた。手塚さんのおかげだった。

そんな、昔の仕事を思い出させてくれた記事。懐かしく手塚さんも元気そうだった。

これからも、アナログレコード文化の継承者としてますますのご活躍をお祈りします。

少し前の話だが、ロサンゼルスのゲーム見本市「E3」で、SCE、MSが、ともに実際に体をうごかしてGAMEを楽しむ「体感ゲーム」を強化するという記事が日経新聞などに出ていた。

任天堂のWiiの成功で、新たなゲームの世界を切り開いた体感ゲーム。実は、実際のリアルに体をうごかすGAME自体は新しくもなんともない。

以前、日本でも流行したアメリカ発の「ツイスターゲーム」。両手両足で四つん這いになって場所を取るゲームもそうだし、そもそもバッティングセンターもゲームと見ればそうだし、もちろんボーリングもゲームと呼ぶ。そして、ケンケンだって。

これらのことは、最近のヒットトレンドの4要素のひとつ「バーチャル→リアル」の流れだ。

バーチャルで起こったヒットが、そのコンセプトを発展させてリアルに近づいてくるというものだ。その典型的なヒット商品がWiiであり、例の板である。

それを、他の2社が追従するというわけだ。

その背景には、高精細ゲームの限界とゲーム専用機のシェアを浸食するスマートフォン等のデジタルデバイス機器の進化がある。ケータイの高度化やiphoneの成功は、ケータイゲーム市場をゆさぶった。

なので、原点回帰ではないが、「遊び方の幅を提案する」となる。Wiiのコンセプトと全く同じだ。
田坂広志さん的に言えば、まさに、事象は螺旋階段のごときに進化するということだ。

「バーチャル→リアル」、このヒットトレンドは今後もますます増えていくことだろう。

吉田就彦

Authour:
株式会社ヒットコンテンツ研究所
代表取締役 吉田就彦

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