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吉田就彦のヒット学

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4月11日に第3回の戯塾を終了した。

今回は、4日に予定していたものが延期されたので、だいぶ塾生には迷惑をかけたが、それでも15名弱が集まった。

今回のテーマは前回に引き続き「東日本大震災を考える」。それのpart2ということで、「2011デジタル3rdインパクト」と「日本人の美徳」というテーマで講義を行った。

「2011デジタル3rdインパクト」は、私がデジタルメディアの変遷で、2011年を3rdインパクトのある年として、5~6年前から言っていたもので、2011年にはTV地上波のデジタル化により、大きなインパクトを受けるとしていた。

そして、マスコミの再構築時代に入り、2013年にはコミュニティ・マスの時代「コミュマス」になるとも。

これらの社会インパクトで、当時は2011年に地上波デジタルが大きなインパクトとなると予言したが、そのインパクトとは実は結果「東日本大震災」だったと現在は考えている。

勿論それは起こるべくして起こったわけではない天災ではあるが、その影響により、デジタルコミュニケーションにおいてソーシャルメディアの力が大きくクローズアップされた。

ネット全般というべきかもしれないが、グーグルのパーソン・ファインダーによる安否確認、Twitter、facebookによる無事の連絡、電話がつながらない中、ネットさえ通じていれば確認できるコミュニケーションがこの東日本大震災の時に活躍した。

そのことを日本中の人間が実体験として知ることになり、それがソーシャルメディアの参加者を大量に促した。そのことにより2000万人クラスのソーシャルコミュニティが2つ出現した。

一方、TVを中心としたマスメディアは、東電のスポンサー問題や公共広告機構の大量のCM振替問題等、その構造が露呈して、政府とともに信用を失った。

勿論、ソーシャルメディアがすべて正しいわけではないという事も経験したものの、少なくともコミュニティで確認したり、身近な人とのコミュニケーションから得る情報の重要性が増すこととなった。

そんな大きなインパクトを受けた2011年。
東日本大震災の与えた影響はデジタルコミュニケーションの分野にも及んでいる。

「日本人の美徳」については、考えのフレームをいくつか披露して、今後再度話していくこととした。

「東日本大震災」については、この1年で何回かやっていこうと思う。

先日、デジハリ大学の卒業式の後の謝恩会で、杉山学長とともにGREATFUL MOJO BANDとして大学で演奏した際に、卒業式後ということで、まんまと秋元康さんの戦略にはまり、AKB48の卒業曲「GIVE ME FIVE 」を演奏した。

当然、狂乱の盛り上がり。我々演奏するほうは、若さゆえの速い楽曲に四苦八苦という感じだが、卒業生へのエールをなんとか達成した。

思えば、おニャン子クラブにも卒業曲の名曲「じゃあね」があった。

その2曲をともに作詞したのが秋元さんだから、この2曲を比べてみると20年という年月の女の子事情が見えてくる。

私がよく言っている現象としての10年サイクルの集団女子アイドルのヒットは、10年を1サイクルとして、らせん状に進化していき、時代を反映して、10年サイクルで同じような現象を生む。

その同様の要素に、時代ならではの現在の世相が重なってヒットが生まれるわけだが、この2曲を比べてみるとやはり時代の変化を感じる。

「じゃあね」では、じゃあねと、そっと手を振って、さようならとなるが、その時の「じゃあね」というライト感覚がおニャン子らしさだ。

そんなそっと手を振る「じゃあね」の20年後、「GIVE ME FIVE!」では「ハイタッチしよう」となる。そっと手を振るからハイタッチへというわけだ。

もっとも、「じゃあね」は女の子が主人公の楽曲になっているが、「GIVE ME FIVE!」は、明らかに男の子の歌詞。「僕ら」とか「慣れておこうぜ」とある。

しかし、それもまた、当世若者事情というべきものだろう。20年前は、女の子も男言葉を使うものの、それらはまだ「なんちゃって」の領域。

現在では、マジに、そんなこと事情が反映しているように思える。

そして「涙」。「じゃあね」では、だめよ泣いたりしちゃとあるが、「GIVE ME FIVE!」では、涙こらえるより生まれてから一番泣いてみようとなる。

否定で戒めるのではなく、堂々と気持ちに忠実になって、未来のために泣くことも良しとする感覚だ。

さらには、泣いた顔を見せ合うことで連帯が生まれる、一生の友達と。そんな当事者としてのAKB48の姿も見えてくる。

そして、極めつけは、「GIVE ME FIVE!」では、制服はもう脱ぐんだと次への決意が前面に表れる。おニャン子では、脱がさないでと歌っていたのにだ。

当世女の子事情、それは未来を自分の力で掴んでいこうという前向きな女の子の姿。

「GIVE ME FIVE!」は、有名なモハメド・アリの言葉。ノックアウトまで5ラウンドという意味だ。秋元さんがその意を込めてこの楽曲を書いたかどうかはわからないが、要は女の子の戦いの前のやる気を宣言した楽曲なのだ。

こんだけチャンスを与えてくれれば私はやってやるわよ、という歌なのだ。

それは優しく手を振っている女の子とはちょっと違う。それが20年の時代の進歩なのだ。明らかに女の子は進化している。

そして、ナカジの卒業に合わせた「じゃあね」と前田敦子の卒業に合わせた「GIVE ME FIVE!」。

その方法論を踏襲して見せた秋元さんの再現性の手腕は、今も変わらず輝きを放っている。

3月29日、鳥取県智頭町を訪れた時に、町の企画課のOさんの依頼で、講演を行った。

タイトルは、「ヒット学~地域活性化と森林・林業の可能性」というもの。

智頭町は、智頭杉が有名で、日本の3大杉と言われている智頭杉の林業の町だ。町の9割を占めるのが森で、杉の大木も多い。なんでも300年以上も前から杉を植林している歴史の町だ。

前回お邪魔した時にお会いした「サカモト」は、木加工で今や全国区になろうとしている智頭の木加工会社。坂本さんという素晴らしい女性社長が頑張っている。智頭の杉をふんだんに使った木ブラインドが賞を取るなど、地域の素晴らしい資源である杉を中心とした木を生かした産業作りに取り組んでいる。

先日、六本木で行われた武蔵野美術大学の展示会にも、サカモトの木ブラインドが「展示されていた。

町を挙げて取り組んでいる林業や木を生かした商品作りをいろいろ聞くに及んで、なにかそんなみなさんの活動の一助になればと講演をおこなったのだ。

「ヒット学」がテーマという事で、ヒットをいかに作るか、「ヒットの心の変遷理論」から始まって「6つのヒット法則」、最近のソーシャルメディアの広がりによるヒットへ至るコミュニケーションの変化、さらには、最近の消費者の意識変化によるマーケテイング的なアプローチ法などの説明を行った。

消費者がどんどん、わがままに、贅沢に、飽きやすくなっている現状をとらえたマーケティングは、機能価値から情緒価値への移行や体験・体感型のマーケティングの必要性、さらには、消費を握る女性の視点の必要性などを解説した。

そして、地域の成功事例として、ローカルヒーローを一躍地域の星にした「超神ネイガー」の事例や鳥取県境港のゲゲゲの大成功におけるクチコミの広がりや連続的話題作りの手法の紹介なども。

さらには、私が現在取り組んでいる「木暮人倶楽部」の概要の説明とその活動を通じての森林・林業の活性化事例も披露した。

お集まりの皆さんは、林業行政のプロの方が多く、さらには森林組合長さんをはじめとして、実際に林業に取り組んでいらっしゃる方々だ。

そんな方々の前で「木暮人倶楽部」などの木の事を語るのもいかがなものかとも思うが、みなさん、熱心に聞いてくださった。

森林関係者から「犯土」(つち)という昔からの言い伝えでの木の伐採時期の考えも披露していただき、その資料も組合長から頂いた。「木暮人倶楽部」の会員には月齢伐採を志向する会員が多いが、その関連性などは今後の活動における重要なテーマになりそうだ。

「犯土」に関しては、あまり文献として残されているものが少ないようなので、その検証研究も「木暮人倶楽部」で行っていくこともありそうだ。

なにしろ「木暮人倶楽部」は、日本の素晴らしい木の文化をテーマの一つにして活動しているわけで、「犯土」はまさにその古き日本の文化、しかも、虫がつきにくく腐りにくい木材を得るために言い伝わっているということで、よい伐採時期を言い伝えている全国各地にも残されているものだ。

日本に根付いているそんな先人の知恵を我々が十分に受け継ぐことによって、日本の素晴らしい文化が次の世代に引き継がれる。

まだまだ、わからないことが多い木の神秘に驚かされるとともに、興味も尽きない。

木暮人倶楽部の活動は、日本の未来を考える活動である。

3月29日の智頭町視察の時に、森のようちえんにお邪魔した。

森のようちえん「まるたんぼう」は、美しい智頭の自然環境が学び舎として、雨や雪の日でも毎日森に出かける野外保育のようちえんだ。

http://marutanbou.org/
こういった'森のようちえん'は、ヨーロッパなどで40年以上の実績をもち、日本でも広がりつつあるようだ。なんでも発祥はデンマークだそうだ。

当日、代表の西村早栄子さんとお会いして、元気な子供たちの姿とともに西村さん達が、このようちえんに賭ける思いを伺った。

「私達は、子供達を毎日自然の中でのびのびと遊ばせたい、少人数で一人一人の育ちのペースを大切にしたきめ細やかな保育をさせたいと思っています。」

という事なのだが、この幼稚園ではなるべく大人が子供たちに係わらず、子供の成長を自然の中で育み、その自然にただ子供たちを放つだけの保育を目指している。

その自然との向き合いが、子供たちをして、仲間との関係を培い、さらには、なにか問題があればそれを自ら解決するという力を育むという考え方だ。

昨今、都会の幼稚園では英語教育に明け暮れるところも多い中、小手先の教育ではなく子供の人間としての根幹を鍛える教育にようちえんのあり方を転換させようとしている西村さんたちの活動は、地域の方々にも支えられて、非常にユニークなメッセージを放つ。

子供教育しようとするのではなく、子供たちが自らなにかを学ぶという視点だ。そのなにかを学ぶ場として、自然、特に森が素晴らしいという事なのだ。

私の木暮人倶楽部の活動の中でお会いしたわけだが、木暮人倶楽部の2大コンセプト「日本の素晴らしい木の文化」と「天然志向の木の良さ]に、通じる西村さんたちの考え方だ。

特に、私は、「天然志向の木」を伝えることは、自然界には同じものがなに一つとしてない生物を慈しむという事であり、「天然志向の木」を「天然志向の人間」と置き換えると、その人のそのままの良さを認め合おうというメッセージと考えている。

特に私のようなクリエイティブ系の大学で学生を教えている身で言えば、すでに大人になっている人間の創造力を嘆くことも多い。

もしかしたら智頭町の森のようちえんを卒園した子供たちの中から将来世界のコンテンツシーンで活躍するクリエイターが出てくるかもしれない。

そんなうれしい希望を想像させてくれる西村さんたちの話は、我々木暮人倶楽部が目指す社会の方向とすごく合致する。

そんな皆さんがいる智頭町。
この町が今活性してきていることに日本の未来があるのだ。

3月28日に、兵庫県の湯村温泉にて、ソーシャルメディアワークショップ2012を行った。

このワークショップは、学者の皆さんや実務家の皆さんとソーシャルメディアの研究を通じて、これからのソーシャルメディアの社会的影響を考えていこうという研究会で、昨年度に続き第2回。今年は鳥取のお隣で行った。

今回も新しいメンバーが加わり、大いに有意義な議論となった。

昨年私が行ったソーシァルメディアの宣伝広報への展開の発表の縁で、昨年秋に鳥取県庁で行政によるソーシャルメディアの利用方法を講演したが、今回のワークショップでは、その後の県の取り組みの紹介もあった。

鳥取県のような地方の行政にとってのソーシャルメディアの使い方は、今後ますますスマホが拡大する中、増してくことになるだろう。

私が昨年後行った講演では、行政が利用する方法としてのいくつかのアイデアも披露したが、その方法をさらに今年加速してもらえれば幸いである。

特に、行政という正確で、固くなければならないソーシャルメディアとしての発信には、発信の仕方として「ユーモア」と「誠実」が重要で、さらには、キャラクター等の擬人化戦略の確立が望まれる。

これは行政にかかわらず、一般の企業等あらゆる組織のソーシャルメディアの取り組みに必須な事項で、そんなことからの今後の成果も期待したい。

私は今年のワークショップでは、3.11の前後の消費者の意識、特にコーポレート・ブランドに対する大きな意識の変化の報告を行った。

3.11以前は商品ブランド、震災後はコーポレートにその話題の主語が移っていることをソーシャルメディアは如実に語っており、そのようなことを捉えられる傾聴戦略から、ブランドを戦略的にマーケティングすることが可能になる。

そんな、リアルタイムに世の中と一体化して、ビジネス戦略を立てることこそがソーシャルメディアの存在意味となる。

吉田就彦

Authour:
株式会社ヒットコンテンツ研究所
代表取締役 吉田就彦

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