Narihiko YOSHIDA

CEO 吉田就彦のマーケティングウォッチ

2015.02.25ヒットコンテンツ研究所

パペロを御存知ですか?

今日のテーマは「ロボット」です。

ロボットというと、我々ぐらいの世代ではやはり手塚治虫の「鉄腕アトム」に代表される様なSFの世界、空想科学の世界がイメージできます。
私はどちらかというと、リアルタイムでは「鉄人28号」の世代ですが、正太郎君がリモコンで鉄人を操り、
悪い奴らをやっつける爽快感と興奮は、その後の私の情操的な成長の発端になったのではないかと思います。

恐らく当時のほとんどの日本の子供たち、とくに男の子は、その後に続く「ゲッターロボ」であったり、
「マジンガーZ」であったり、ロボットの縦横無尽な活躍とともに大人になってきたのではないかと推察されます。
そこには、昭和の時代の夢とロマンがあり、我々はそれを身体いっぱい吸って育った世代ということになるのかもしれません。

そんな我々の夢物語の世界から、最近では様々なリアルロボットの活躍で、昔夢だった事柄がどんどん現実化され、
単なる夢物語だったロボットが、古くは工場内の産業用ロボットのようにビジネスに応用され、
更にはモビルスーツのように、全く新しい分野のビジネスのコア技術として、これからの成長産業の一つと数えられるようになりました。

そんな次世代のロボット技術の一つがコミュニケーションロボットの存在です。
人間の替わりにロボットがまるで人の様なコミュニケーション機能を担う存在となるのですが、
通信技術やセンサー技術、さらには認識技術や計算処理技術の桁はずれな進歩によってどんどん本物の人間に近くなってきて、コミュニケーション能力が高まっている昨今です。

そんな中、私が取り組んだあるロボットと人間のコラボレーション企画が「パペロ・プロジェクト」でした。

皆さんは「PaPeRo(パペロ)」というロボットを御存じでしょうか?

実はつい最近までSONYのロボット犬「AIBO」の事業が終了してしまった後、
HONDAの2足走行ロボット「ASIMO」と並んで事業を継続してきたNECのコミュニケーションロボットの名前です。
NECの映像コーポレートロゴに、小さな女の子と一緒に写っているロボットがそれです。
NECのHPによると現在はクラウド連携型ロボットプラットフォームのみの展開になっているようですが、
そのPaPeRo の活性化というお題が私に回ってきて、数年前にそのお手伝いをしたことがあるのです。

そもそもこのプロジェクトが始まったのが、小さな予算でなにかこのPaPeRo 事業の可能性を感じさせる映像を製作してほしいというリクエストでした。
その時のプレゼンテーションをNECの方からお聞きして、私が直感的にひらめいたのが、
私設応援団「我武者羅応援団」とのコラボによる映像製作というアイデアでした。

皆さんは、「我武者羅応援団」という集団はご存知でしょうか?数年前にNHKの紅白歌合戦でファンキーモンキーべイビーズと一緒に出たり、BSのあるチャンネルのCMに出演するなどで、最近はメディアにもちょくちょく出るようになった軍団なのですが、要はプロの応援団なのです。

リーダーの武藤君はデジタルハリウッド大学院の私のゼミの出身者で、彼が考えたビジネスモデルというのが、私設のプロの応援団の結成という、デジタルの大学院としては超アナログなビジネスアイデアでした。大学院修了後、彼は実際に起業して活動を始めたのですが、私もいろいろそのコンセプト作りに協力して来た集団なのです。

何故、PaPeRo と我武者羅応援団なのか、そのコラボの在り方に???と思われる方も多いと思いますが、私は、PaPeRo のコンセプト映像には、この我武者羅応援団とのドッキングが最高であると思ったわけなのです。

私が提案したコンセプトは、PaPeRo と我武者羅応援団でPaPeRo 応援団を結成し、オリジナル応援ソングを作ってビデオクリップ化し、それをPaPeRo の宣伝映像とするというものでした。

その理由は、まずPaPeRo の商品コンセプトで最も訴求したいテーマが、コミュニケーションであったので、応援という人と人がコミュニケーションする一番熱のある関係性がこのテーマ訴求にはもってこいであること。ロボットという機械を擬人化してイメージ付けるにはやはり人間のナビゲーターが必要であり、その人間が単なるモデルではなく、実在する応援団であること。我武者羅応援団とのコラボであり映像製作費を一部彼らが負担してその代わり映像の権利を彼らが持てば彼らの活動と共に映像が広がっていくこと。そして、なによりもデジタルのPaPeRoと超アナログの応援団の組み合わせは話題を呼ぶのではないかと思ったことでした。

これらの理由により私は勝算があって提案したのですが、担当のNEC責任者が面白がってくれて小予算であることが幸いしGOとなりました。その後我武者羅応援団の素晴らしい努力とパフォーマンスにより面白いビデオクリップが出来ました。

最も素晴らしいコラボレーションは、PaPeRoの動きを司るNECのエンジニアの努力で7体のPaPeRoがみな同じ動きをして応援団の一員として立派に応援をしたことです。そのプログラミングと調整はロボットへのコマンドとしても本当に大変だったと思いますが、その可愛らしい応援は見た人の心に本当にロボットに応援してもらっている感覚を抱かせるものでした。

我武者羅応援団とPaPeRoスタッフの努力の甲斐があって、前述したようにNECの映像コーポレートロゴに使ってもらえるように「PaPeRo」をインナーブランディングできたのだと思います。皆さんも一度ご覧になってください。

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