2015.06.06コラム
オムニチャネルの動向
本日のテーマは「オムニチャネル」です。
ヒットコンテンツ研究所では、お客様のご要望に応じてマーケティング動向の調査を実施し、最新のマーケティング情報をレポートしております。特にご要望が多いのが、海外の先進的なマーケティング動向をタイムリーにお届けすることです。
今年に入ってから多いのが「オムニチャネル」に関するお問い合わせです。
今日は、今までの調査実績から少しだけ事例を抜粋してみます。オムニチャネルの先駆者である米国の事例をピックアップしてみましょう。
<AmazonFresh>
沿革
2007年 ワシントン州シアトル市で試験的に始めたサービス
2013年半ば カリフォルニア州ロサンゼルスに進出
2013年末 カリフォルニア州サンフランシスコに進出
「Amazon」はEC最後のフロンティアと言われながらも、低利益率、高コストの生鮮食料品を取り扱うにあたり、「Amazon Fresh」のビジネスモデルを確立させるのに6年の時間をかけています。
96年に設立され、2001年に倒産したオンライン食品雑貨宅配サービス「Webvan」の失敗要因は物流にあったと言われており、「Amazon Fresh」は効率的な物流システムの構築に注力して慎重な拡大戦略を取っています。
(日本では「楽天マート」が物流の弱さから苦戦しています。)
「Amazon Fresh」の2012年の売上高は6,600万ドル(65億円)と発表されています。
「Amazon Fresh」の主なサービスを上げてみます。
-「Amazon Dash」等の関連ツールの充実
-即日配送サービスへの対応
-配送料無料
-地域の商店・レストランとの連携
-500,000万点以上の商品を販売
そして、2015年現在の「Amazon Fresh」はどうなっているでしょうか?
-利用可能地域・サービスの拡充
2007年にシアトルで開始したAmazon Freshは現在サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ、フィラデルフィア、ニューヨークの計6都市で利用可能になっています。
-米国内でのトラブル:州ごとに異なる条例
ワシントン州、ニューヨーク州など州をまたいだサービス展開を行っていますが、州ごとの条例に対応しきれず酒類の販売・配送が停止となっています。
-安さの実現と年会費の高騰
ニューヨーク市内で30品の食料品を通販した場合、Amazon Freshが競合他社よりチップ込みで20ドル安く済むのですが、一方で、年会費の高騰がユーザーからの批判を集めています。
-新たなサービスへの挑戦
様々な競合が現れては消えて行く食料品通販サービスですが、Amazonはドローンを用いた配送など、精力的に新サービスの展開を試みています。
「オムニチャネル」の先駆者と言える米国に置いても、他にないサービスを提供することで新たなスタートアップ参入の可能性がまだまだ高いと言える状況となっていますが、同時に、展開が拡がるにつれて様々な課題も浮かび上がっているようです。
サービスのコンタクトポイントはモバイルがメインであり、AmazonやGoogleといったIT大手の動向は今後も注目すべきでしょう。
Wal-Mart、Macy’s、イオンといった大手小売もデジタルへの投資を積極的に行っており、オムニチャネル化によるサービス向上、ビッグデータ活用によるマーケティング強化を推進しています。
他にも、海外、国内の多数の事例を調査しております。ご興味がありましたらお問合せ下さい。
(スタッフ・日高)